鯨法会は春のくれ、
海に飛魚採れるころ。
浜のお寺で鳴る鐘が、
ゆれて水面をわたるとき、
村の漁夫が羽織着て、
浜のお寺へいそぐとき、
沖で鯨の子がひとり、
その鳴る鐘をききながら、
死んだ父さま、母さまを
こいし、こいしと
泣いています。
JULA出版局『金子みすゞ全集』より
※「浜のお寺」・・・仙崎鍛冶屋町 浄土真宗本願寺派 浄岸寺のこと
「・・・テルさんとわたくしたちは、いつも一緒に浄岸寺日曜学校に通い、み仏様のお話を聞き、家ではママゴト遊びをしていました」『浄土真宗本願寺派山口教区報』93年新春号より